自治事務等に係る申請・届出等手続のオンライン化の推進

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　行政情報システム各省庁連絡会議は、2000年12月20日に開いた会合で「自治事務等に係る申請・届出等手続のオンライン化の推進に関する政府の取組方針」を了承しています。

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• 自治事務等に係る申請・届出等手続のオンライン化の推進に関する政府の取組方針（首相官邸サイト内）
  　行政情報システム各省庁連絡会議が2000年12月20日に了承したもので、「首相官邸」にある「IT戦略会議」のページに掲載されています。また、この文書と同じ文書が、総務省行政管理局サイト内にも掲載されています。なお、行政情報システム各省庁連絡会議に関する説明図も行政管理局にあります。
  　取組方針の「1.基本方針」によれば、住民と自治体との間で行なわれてきた自治事務等（地方自治法第２条第８項に規定する自治事務及び同条第９項第２号に規定する第２号法定受託事務をいう。）に係る申請・届出等手続について、インターネット等を利用した手続のオンライン化を図ることができるよう、政府は「IT化の標準の提示、標準仕様等の提示、法令等の整備その他の環境整備に積極的に取り組むこと」とし、「行政の簡素・効率化及び国民の利便性向上の観点から、国は、個別手続ごとに専用システムが構築されることを極力回避するとともに、各地方公共団体が可能な限り標準化された汎用システムを利用し得るよう努めることとする」そうです。
  　自治体に任せていたら、2003年の電子政府実現は覚束ない、それに勝手に作らせたら政府として情報を吸い上げられないと、政府は地方分権なんか忘れてお節介に出てきたようです。
  　「2.国の取組」には、IT化の標準の提示として、
  　(1)行政のネットワーク化
  　　ア 庁内LAN、一人一台パソコンの整備
  　　イ 総合行政ネットワークの整備
  　(2)申請・届出等手続のオンライン化
  　　ア 地方公共団体における組織認証基盤の構築
  　　イ 地方公共団体における個人認証基盤の構築
  　　ウ 申請・届出等手続に関する汎用システムの構築
  を上げ、これらに係る標準仕様等の提示を(1)イ及び(2)アについては「自治省において、平成12年度内に実証実験を行った上で、地方公共団体に提示するための標準仕様等を作成」し、(2)イについては「平成15年度までの構築に向けて自治省において標準仕様等の検討を行う」、(2)ウについては「自治事務等オンライン化推進関係省庁連絡会議（「自治事務等オンライン化推進関係省庁連絡会議について」総務省行政管理局）において決定することとし、平成12年度内に同会議において基本仕様の概要及び具体的なスケジュールを決定する」としています。
  　さらに、同方針は、自治体に対してオンライン化推進計画を策定など計画的推進を要請することや、先導的取組に対する支援、自治事務等オンライン化推進関係省庁連絡会議の開催などもうたっています。
  
  　※参照　申請・届出等手続に関する汎用受付システム
  　
• 自治事務等に係る申請・届出手続のオンライン化の推進に関する政府の取組方針について
  　2001年1月22日に開かれた IT戦略本部の第１回会合に提出された資料。上記の取組方針が簡潔にまとめられています。
  　
• 地方自治法における地方自治体の事務に関する規定
  第２条
  (８)　この法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。
  (９)　この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
  　一 　法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの（以下「第一号法定受託事務」という。）
  　二 　法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの（以下「第二号法定受託事務」という。）
  　
• 地域IT推進のための自治省アクションプラン
  　自治省・地域IT推進本部が、2000年12月25日に示した「地域IT推進のための自治省アクションプラン」では、自治事務等に係る申請・届出等手続のオンライン化の推進について、次のように記述しています。
  

  II　 個別事項
  ２ 住民からの申請・届出等のオンライン化の推進
  （３）個別手続のオンライン化の推進
  (1)　法令の整備、標準仕様の提示等
  　　担当：大臣官房情報政策室・関係各部局
  　　（自治行政局地域情報政策室・関係各部局）
  
  （施策目標）地方公共団体が法令等に基づき処理する事務について、各地方公共団体が当該地域の実情に応じてオンライン化に取り組むことが可能となるよう法令の整備、標準仕様の提示等の環境整備に努める。
  
  ○上記を実現するため、以下の取組を実施する。
  1) 第一号法定受託事務
  　　・・・引用者略・・・
  
  2) 自治事務等（自治事務及び第二号法定受託事務）
  【平成１２年度】
  　1. 政府全体の取組方針をとりまとめ行政情報システム各省庁連絡会議において決定
  　2. 法律に基づく自治事務等に係るオンライン化を円滑に推進するため、関係省庁からなる自治事務等オンライン化推進関係省庁連絡会議を開催（以後、適宜開催） 。
  　3. 地方公共団体から要望を聴取し、各省庁に連絡（以後、毎年実施） 。
  【平成１３年度】
  　1. 所管省庁は、法律に基づく自治事務等について、春から夏にかけて、法令改正の時期等を示したアクション・プランを作成。対象手続について、以後、順次法令の整備等を実施。
  　2. なお、条例等に基づく自治事務についても地方公共団体の自主的な取組に対する情報提供等を実施。
  
  3) 申請・届出等手続に関する汎用システムの基本仕様等の提示
  　　・・・引用者略・・・

  　
• 「自治事務等に係る申請・届出等手続きのオンライン化に関する要望調査について」
  　上記の「自治事務等に係る申請・届出等手続のオンライン化の推進に関する政府の取組方針」によれば、各省庁は、「所管する法令に基づく手続に関し、各省庁における推進体制、オンライン化する個別手続に係る標準仕様等の提示や法令改正の時期等について、地方公共団体からの要望、国民等からの要望等を踏まえ」たアクション・プランの策定を2001年度春から夏にかけて行なうこととし、「その際、自治省は地方公共団体からの要望を調査し、平成12年度内に各省庁に連絡することとする」としています。
  　以上の方針に基づいて自治大臣官房情報政策室長名で各都道府県と各指定都市の担当部局長宛てに発せられたのが、この「自治事務等に係る申請・届出等手続きのオンライン化に関する要望調査について」（2000年12月28日付け自治情第156号）です。要望調査は、様式１「要望事項総括表」、様式２「要望個表」（要望手続・項目、オンライン化の予定・計画、要望内容、その他の特記事項を記入）からなり、「貴団体及び管内市町村分について取りまとめの上」、2001年1月31日までに提出するようにとなっています。
  　この文書は政府関係のサイトでは見出せませんので、以下に当サイトとして全文（黒田の責任で一部削除）を掲載します。画像データ（通知文書、記載要領　　黒田の責任で一部修正）も用意しました。
  
  

  自治情第156号 平成12年12月28日 各都道府県担当部局長 （情報化施策担当・市町村担当）　　殿 各指定都市情報化施策担当部局長 自治大臣官房情報政策室長 自治事務等に係る申請・届出等手続のオンライン化に関する 要望調査について 　当室の業務につきましては、日頃より格段のご協力を頂き、ありがとうございます。 　さて、国においては、2003年度までに電子政府の基盤を構築するという方針を踏まえ、既に、国が直接行う申請・届出等手続（国の事務に関し、法令等に基づき、国民等と行政機関との間で行われる申請・届出や、結果通知等の手続）については、原則、全ての手続について平成15年度までにインターネット等を使ったオンライン申請を実施することとされております。また、地方公共団体が法令に基づき行う第1号法定受託事務についても、各所管省庁において、平成15年度までに実施方策等を提示することとされているところです。 　一方、地方公共団体が法令に基づき行う事務のうち、自治事務等（自治事務及び第二号法定受託事務）については、先般、決定した「自治事務等に係る申請・届出等のオンライン化に関する政府の取組方針」に基づき、各省庁が、地方公共団体の要望等を踏まえ、来年春から夏にかけて、法令改正の時期、標準仕様の提示の時期等を示したアクション・プランを策定することとされています。 　このようなことから、各省庁におけるアクション・プラン作成の参考とするため、今般、地方公共団体が行う自治事務等について、地方公共団体の要望調査を行いますので、別紙「記載要領」に留意し、貴団体及び管内市町村分について取りまとめの上、平成13年1月31日（水）までに様式１及び様式２を提出していただくようお願いします。

  　

  記載要領 １　様式１（要望事項総括表） 　各都道府県は、市町村からの要望及び自身の要望を取りまとめの上、要望総括表に記入すること。表中の個表番号は、様式２「要望個表」の個表番号に対応すること。 ２　様式２（要望個表） （1）手続・事項ごとに１枚の個票を作成すること。 （2）「１　要望手続・項目」の対象は、地方公共団体が法令に基づく行う申請・届出等手続（住民、と行政機関との間で行われる申請・届出や、結果通知等の手続）のうち自治事務及び第二号法定受託事務として行われるものについて記入すること。 　また、あわせて、誰から誰（例えば、高齢者等から福祉事務所長等）に対する手続であるかを記入すること。 　なお、当該手続の根拠法令（例えば、○○法○○条、○○に関する政令○条等）及び所管官庁（省庁再編後における省庁名：担当部局等の名称は不要。）を記述すること。 （3）「２　オンライン化の予定・計画」は、当該手続について、今後オンライン化に向けた具体的予定・計画を記述すること。現段階で具体的予定・計画がない場合にもついても、わかる範囲内で前広に記述するものであること。 　例） 　・◇◇事務のオンライン化 　　　平成13年度　　　　システム設計・制度改正要望 　　　　　〜平成14年度 　　　平成15年度　　　　オンライン化導入・運用 （4）「３　要望内容」は、国に対し、オンライン化のための法令改正、システムの標準仕様の提示等具体的な事項を記述すること。 （5）「４　その他特記事項」は、上記以外で具体的に特記すべき事項を記述すること 　例）地方公共団体がこの手続に関連して、独白の手続を行っている（例えば、法律上要求されている手続に加えて独自に手続を付加している。）ため、所管官庁が示す標準システムとシステム上の整合性をとる必要がある。

  　
• 「自治事務等に係る申請・届出等手続きのオンライン化に関する要望調査について（照会）」
  　上記、「自治事務等に係る申請・届出等手続きのオンライン化に関する要望調査について」は、2000年末に自治省から発せられたため、実際に、この調査表が各市町村に送達されたのは、かなり後になってからでだったようです。例えば、ここに掲載した「自治事務等に係る申請・届出等手続きのオンライン化に関する要望調査について（照会）」は、自治省からの文書を受けて、大阪府が総務部市町村課振興補佐名で各市町村情報政策担当課長宛てに発した文書ですが、日付は「平成13年1月12日」となっています。12日は金曜日ですから各市町村の担当課がこの文書を見るのは早くても15日、月曜日です。受取った市町村の担当課から、関係各課に文書が配付されるのはさらに数日後でしょう。
  　この紹介文書では、1月24日までに提出するようにとなっています。各市町村の担当課が、調査表を回収し取りまとめるのに要する日数も考慮すれば、関係各課で検討するために残された時間はほとんどないでしょう。どう考えても無茶な調査です。
  　自治省（文書を発した後、すぐに総務省に改称）の官僚の頭の中には、じっくり調査し精度を上げることよりも、やったぞという実績（アリバイ）づくりがあるのでしょう。いや、自治体職員など始めから相手にしていないのかも知れません。優秀な自治省官僚とメーカーの知恵を合わせれば、できないことなどないと確信しているのでしょう。しかし、こんな現場を無視した強引なやり方で、国民生活の向上に役立つ「電子自治体」など実現できるのでしょうか。
  　もっとも「文書の送達にこんなに日数を要するようでは非効率的だ。だからこそ『総合行政ネットワーク』の早期整備が必要だ」ということかもしれません。しかし、本当は、政府官僚が自分たちの都合だけで、まるで下級機関に指示するが如く一方的に文書を送付してくるシステムにこそ問題があるのではないでしょうか。特に、今回の調査は、本来、自治体の裁量に任されるべき「自治事務」に関するものであり、政府が事細かく干渉すべきものではありません。調査自体、いや政府の取組方針自体に問題があると考えるべきではないでしょうか。
  　おそらく、『日本の生き残り』を賭けた「IT革命」の遂行のためには、地方自治や地方分権などという綺麗ごとは邪魔だとでも蜃気楼さんも彼の政府も考えているのでしょう。
  　この文書は大阪府のサイトでは見出せませんので、以下に当サイトとして全文（黒田の責任で一部削除）を掲載します。画像データ（黒田の責任で一部修正）も用意しました。
  
  

  事務連絡 平成13年1月12日 各市町村情報政策担当課長　様 大阪府総務部市町村課振興補佐 自治事務等に係る申請・届出等手続のオンライン化に関する 要望調査について（照会） 　標記について、平成12年12月28日付け自治情第156号で自治大臣官房情報政策室長から照会がありましたので、別紙記載要領に留意の上、平成13年1月24日（水）までに様式2を提出願います。該当がない場合でも電話連絡ください。 　なお、この調査は、各省庁のアクションプラン作成の参考となるものてあり、個々の法令に基づく自治事務等の質問については、本府の各原課へ問い合わせ願います。

  　

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自治体情報政策研究所「電子自治体情報」
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