申請・届出等手続に関する汎用受付システム

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　「自治事務等に係る申請・届出等手続のオンライン化の推進に関する政府の取組方針」に基づき総務省は、「申請・届出等手続に関する汎用受付システム」の策定を進めています。

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• 自治事務等に係る汎用システムの基本仕様の概要
  　2001年3月29日に開かれた IT戦略本部の第３回会合に提出された資料「電子政府の実現に向けた取組状況について−共通課題の解決方策及び当面のスケジュール等−」に添付された参考４ 。
  　
• 地方公共団体における申請・届出等手続に関する汎用受付システムの基本仕様（中間報告）　PDFにつき注意
  　2001年10月31日付けで総務省が示したもので、同省ホームページに掲載されていますが、あいにくPDFのみです。
  　中間報告は、

  　本中間報告までの基本仕様検討においては「地方公共団体における申請・届出等手続に関する汎用システムの基本仕様の概要（平成13 年3月27 日自治事務等オンライン化推進関係省庁連絡会議決定）」を踏まえ、国の事務に関する「申請・届出等手続のオンライン化に関わる汎用受付等システムの基本的な仕様（平成13 年8月6日行政情報化推進各省庁連絡会議幹事会了承）」にも整合が取れるものとして検討を進めてきたところである。

  　としていますが、「基本仕様の概要」は総務省サイトのどこにも見当たりません。国民に対しては、いきなり中間報告が提示されたことになります。
  　
• 地方公共団体における申請・届出等手続に関する汎用受付システムの基本仕様（PDFにつき注意）
  　自治事務等オンライン化推進関係省庁連絡会議が、2002年3月27日付けで決定したもの。
  　「６ 平成13 年度における汎用受付システム基本仕様の範囲と実現形態」を見ると、

  (2) 汎用受付システムの実現形態
  　汎用受付システムの実現形態としては、次の３つの方式が考えられる。いずれの方式を採用するかは各地方公共団体の実情に応じて検討するものとする。
  ア) 独自運営方式… 各地方公共団体が独自にシステムを運営管理する方式
  イ) 共同運営方式… 地方公共団体が共同で運営センタを利用する方式
  ウ) 併用運営方式… 共同運営方式と独自運営方式を併用した方式
  　なお、汎用受付システムを運営する際には、セキュリティに配慮しつつ、外注を活用することもあり得る。
  　平成13年度における実証実験においては、イ) 共同運営方式を検証した。

  と書かれています。
  　2003年度に、全ての自治体においてインターネット等を利用した手続のオンライン化を図るためには、自治体それぞれに開発を任せていたのでは、間に合わないし、経費もかかる。だから、複数の自治体が利用する共同のシステムをつくる必要がある。共同のシステムを実現するには、手続の標準仕様を決め、その仕様に基づいた汎用受付システムが要る。
  　また、手続の標準仕様による汎用受付システムを、全てとはいかなくとも、多くの自治体で使わせることができれば、汎用受付システムの仕様を通じて、すなわち、国が決めた機械にあわせて自治体に仕事をさせることによって、自治体のコントロールが可能になる。
  　基本仕様の「汎用受付システム構築の意義」には、このようなことは、当然ながら書かれてはいません。しかし、政府・総務省の目的は、このあたりにあると見るべきではないでしょうか。
  　なお、「平成13年度における実証実験においては、イ) 共同運営方式を検証した」は、2002年2月に行なわれた電子自治体推進パイロット事業のことです。
  　また、総合行政ネットワークとの関係では、「５ 汎用受付システムの機能概要」の「(1) 基盤　　ア) ネットワーク機能」に、

  �A) 総合行政ネットワーク(LGWAN)接続機能
  　地方公共団体と汎用受付システム間のネットワークとしてLGWAN を利用する場合は「総合行政ネットワークASP 基本綱領」等に基く。

  とされており、共同の運営センタと自治体との情報のやり取りに、総合行政ネットワークが利用されることがわかります（ASP 基本綱領とは、何か不明ですが）。これは、「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」（2000年8月28日、地域IT 推進本部）に書かれた総合行政ネットワーク構築の目的である

  　地方公共団体間や地方公共団体と国との間で行われる申請・届出・報告、許認可等に係る迅速な文書交換や、法令、条例、基礎的統計等の情報の共有を実現する

  と、若干ニュアンスが違うように思います。共同の運営センタは、新たに作られる一部事務組合や広域連合などの地方公共団体の組合なのか、それとも既存の、すなわち市町村など自治体の一部なのでしょうか。
  　また、ASP(Apprecation Service Provider)により、管理経費を下げるためには、情報関連企業が運営するデータセンターに、システムを丸ごと預けることが必要となります。民間企業では、こうした形態での利用が行なわれていますし、情報関連企業もそうしたサービスの提供を盛んに宣伝しています。・・・・・・※　ASPについては、「IT用語集」（日本経済新聞社「ITニュース」）のASP(Application Service Provider)の項などをご覧ください。
  　例えば、日経新聞サイトのITニュース（2001.10.23付）は、「富士通、全国47ヵ所にデータセンター・今後3年間、自治体電子化後押し」と題して、次のように報道しています。

  　富士通は今後3年間で約400億円を投資し、インターネットデータセンターを全国47カ所に設置する。データセンターは顧客のコンピューターを集中管理する専用設備。電子自治体システムの構築に取り組む市町村や、ネットの活用で業務効率化を目指す地方企業などを対象に、システム構築から保守運用まで一括で請け負うサービスの提供拠点にする。
  　今年度中にも13カ所に設置し、2003年度中に全国47都道府県への整備を完了する計画。強固な情報セキュリティーを確立、24時間365日体制で専門の保守要員がシステムを監視する。情報電機業界で首都圏にデータセンターを開設する動きがあるが、全国を網羅する体制作りは富士通が初めて。
  　富士通は群馬県館林市、兵庫県明石市に数百人規模で運営する大型データセンターを持つほか、近く都内でも稼働させる。これを今後整備する地方のデータセンターと高速ネットワーク回線で結び、地方で対応可能な小型システムから、大型データセンターが必要な大規模システムまですべての機能をネット経由で提供できる体制を確立する。
  　富士通は全国規模でデータセンターを整備することでソフト・サービス分野の需要をきめ細かく開拓していく。他社ではNECが全国に5カ所、日本IBMが首都圏2カ所、NTTデータが都内1カ所でデータセンターを開設している。

  　とすると、共同の運営センタは、複数の自治体から業務を委託されている民間企業と言うことになります。総合行政ネットワーク構築の目的には、民間企業との接続はうたわれていませんね。どう考えればよいのでしょう。
  　ところで、受付システムを自前で持つことができず、共同の汎用受付システムに頼る自治体が、申請などの審査や決裁、保管などの業務を行なうシステムは自前で持てるとはあまり考えられません。おそらく、審査や決裁、保管などの業務も含めて、共同システムの中に含まれることになるでしょう。頼りついでに、会計処理や庶務事務、さらには住民情報に関わる業務などのシステム、いわゆる基幹業務システムも共同システムになる可能性も充分考えられます。そうなれば、データセンターの中に、自治体の業務全体が、全ての住民の個人情報ともども、吸い込まれてしまうことになります。○○市のバーチャル市役所は、富士通データセンターの中、なんてことが普通になるかもしれません。
  　実際、地方公共団体ＯＡフェアの会場で、あるメーカーの社員は、

  　データセンターとASPを利用した様々な自治体業務をこなせるシステムをパッケージで提案しています。全ての業務はブラウザを使ってこなすことになりますから、インターネットにつながったパソコンさえあれば、電子自治体の構築は可能です。サーバーも管理要員も市役所の中にいりません。ですから、技術もお金もなくても大丈夫です。もっとも、このシステムは複数の自治体での共同利用が前提ですから、個別の自治体からの要望（カスタマイズ）には、一々応えるのは難しいと思います。

  と、私に説明してくれました。
  　
• 申請・届出等手続のオンライン化に関わる汎用受付等システムの基本的な仕様
  　行政情報化推進各省庁連絡会議幹事会が、2001年8月6日付けで了承した文書。上の汎用受付システムの基本仕様は地方自治体用、こちらは国の行政機関用。お間違えなく。
  　
• 地域IT推進のための自治省アクションプラン
  　自治省・地域IT推進本部が、2000年12月25日に示した「地域IT推進のための自治省アクションプラン」では、申請・届出等手続に関する汎用受付システムについて、次のように記述しています。
  

  II　 個別事項
  ２ 住民からの申請・届出等のオンライン化の推進
  （３）個別手続のオンライン化の推進
  (1)　法令の整備、標準仕様の提示等
  　　担当：大臣官房情報政策室・関係各部局
  　　（自治行政局地域情報政策室・関係各部局）
  
  （施策目標）地方公共団体が法令等に基づき処理する事務について、各地方公共、団体が当該地域の実情に応じてオンライン化に取り組むことが可能となるよう法令の整備、標準仕様の提示等の環境整備に努める。
  
  ○上記を実現するため、以下の取組を実施する。
  1) 第一号法定受託事務
  　　・・・引用者略・・・
  
  2) 自治事務等（自治事務及び第二号法定受託事務）
  　　・・・引用者略・・・
  
  3) 申請・届出等手続に関する汎用システムの基本仕様等の提示
  【平成１２年度】
  　申請・届出等の受付や結果通知等について複数の手続に汎用的に利用できるシステムの基本的仕様の概要及び具体的なスケジュールを決定。
  【平成１３年度〜】
  　基本的仕様について自治事務等オンライン化推進関係省庁連絡会議において検討し決定。
  
  4) 電子自治体推進パイロット事業の推進
  　　・・・引用者略・・・

  　

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自治体情報政策研究所「電子自治体情報」
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